BMWの2シリーズは他のシリーズと比べると、異彩を放つモデル群となっています。その理由は、2シリーズが持つ
- スポーティなスタイル・走行性能の高さ
- 使い勝手の優れたユーティリティ性能の高さ
という2つの異なるメリットを、それぞれ別モデルとして発展させているからです。
本記事では、そんなユニークなBMWの2シリーズの魅力や特徴、歴代モデルや現行モデルについて詳しく解説していきます。
※記事内に掲載している情報は2025年5月時点のとなります。
BMW 2シリーズとは
1シリーズの発展、派生モデルとして開発された2シリーズは、他のシリーズには無い明確な特徴があります。
まずは2シリーズがどのようなモデルなのか、詳しくご紹介していきます。
BMWの中で最もコンパクトなクーペとして登場
BMWの各モデルは「シリーズ」として、数字や記号で区分けされます。
この数字には意味があり、
- 奇数のシリーズ・・・奇数(3・5・7など)・・・主に基本となる4ドアセダンモデル
- 偶数のシリーズ(4・6・8など)・・・主に基本モデルをベースとしたクーペ・スペシャリティモデルなど
という特徴があります。
例えばBMWの基幹モデルである3シリーズに対し、それをクーペ化してスタイリッシュに仕立てたのが4シリーズといった具合です。
2シリーズのクーペも、この法則に当てはまり、元々存在した1シリーズのクーペ(E82型)を、2シリーズクーペ(F22型)として発展させました。
現在はスポーティなクーペと実用性に優れたMPVが共存
現在の2シリーズは、系統が全く異なる2つのモデルがラインナップされています。
一つは流麗でスタイリッシュなクーペ・グランクーペ。そしてもう一つは実用性に優れたMPV(Multi Purpose Vehicle)のアクティブツアラー。
スタイリッシュなクーペモデルが用意されている一方、車高が高く実用性に優れたボディを持ったモデルもラインナップされています。
BMWの他のシリーズには、このような組み合わせは存在しません。
「走り」に重きをおいたBMWのラインナップの中で、唯一ユーティリティ性能を重視したモデルを用意している点は、2シリーズならではの大きな特徴と言えます。
BMW 2シリーズの特徴
デザイン(エクステリア・インテリア)
現行モデルの2シリーズは、コンパクトでワイド&ローなボディが採用されています。
「アダプティブLED」が採用されたヘッドライト、薄型のキドニーグリルが精悍な顔付き。ボディ全体には立体感を表すプレスラインも刻まれており、スポーティで洗練されたデザインです。
また、全モデルに「BMW・カーブド・ディスプレイ」が採用されており、インテリアはモダンな雰囲気に進化しています。
エアコンやオーディオ、ナビなどの操作は全てタッチパネルで行い、ボタンの配置は好みに合わせてカスタマイズ可能。音声認識機能も搭載されているため、ハンズフリー操作も行えます。
走行性能・燃費
現行2シリーズは、モデル毎に異なるパワーユニットを搭載しています。
クーペには2L直列4気筒エンジン(220i)と、3L直列6気筒エンジン(M240i xDrive)を搭載。足回りにはスポーツサスペンションも搭載されているため、FRの持つハンドリング性能を存分に堪能できます。
【クーペのエンジン・燃費性能】
220i | M240i xDrive | |
エンジンの種類 | 直列4気筒DOHCガソリン+ターボ | 直列6気筒DOHCガソリン+ターボ |
排気量(cc) | 1,998 | 2,997 |
最高出力(kW〔ps〕/rpm) | 135〔184〕/ 5,000 | 285〔387〕/ 5,800 |
最大トルク(Nm/rpm) | 300 / 1,350-4,000 | 500 / 1,800-5,000 |
WLTCモード燃費(km/L) | 13.3 | 10.9 |
グランクーペに搭載されるパワーユニットは、基本的に新型1シリーズと同じものとなります。
ガソリンモデルは1.5L直列3気筒エンジン(220)と、2L直列4気筒エンジン(M235 xDrive)、ディーゼルモデルには2L直列4気筒ディーゼルモデル(220d)を搭載。
なお、「220」と「220d」には48Vマイルド・ハイブリッドシステムが搭載されており、加速性能や燃費性能も大きく向上しています。
【グランクーペのエンジン・燃費性能】
220 M Sport | 220d M Sport | M235 xDrive | |
エンジンの種類 | 直列3気筒DOHCガソリン+ターボ | 直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ | 直列4気筒DOHCガソリン+ターボ |
排気量(cc) | 1,498 | 1,995 | 1,998 |
最高出力(kW〔ps〕/rpm) | 115〔156〕 / 5,000 | 110〔149〕 / 4,000 | 221〔300〕/ 5,750 |
最大トルク(Nm/rpm) | 240 / 1,500-4,400 | 360 / 1,500-2,500 | 400 / 2,000-4,500 |
モーター最高出力(kW〔ps〕/rpm) | 15〔20〕/ 5,500 | 15〔20〕/ 5,500 | ーー |
モーター最大トルク(Nm/rpm) | 55 / 0-2,000 | 55 / 0-2,000 | ーー |
WLTCモード燃費(km/L) | 17.5 | 21.1 | 12.6 |
アクティブツアラーは、ガソリンモデルに1.5L直列3気筒エンジン(218i)、ディーゼルモデルに2L直列4気筒エンジン(218d)が搭載されています。
足回りのセッティングは他のモデルと比べてマイルドで上質な乗り心地を実現。長距離の移動でも疲れにくい設計となっています。
また、スポーツグレードの「M Sport」では、ワインディングを気持ち良く走れるように、スポーツサスペンションが搭載されています。
【アクティブツアラーのエンジン・燃費性能】
218i Exclusive / M Sport | 218d Exclusive / M Sport | |
エンジンの種類 | 直列3気筒DOHCガソリン+ターボ | 直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ |
排気量(cc) | 1,498 | 1,995 |
最高出力(kW〔ps〕/rpm) | 115〔156〕/ 5,000 | 110〔150〕/ 4,000 |
最大トルク(Nm/rpm) | 230 / 1,500-4,600 | 360 / 1,500-2,500 |
WLTCモード燃費(km/L) | 14.5 | 18.6 |
収納能力
2シリーズの収納能力は、次のようになります。ハイブリッド・システムを搭載するグランクーペは、他のシリーズと比べると、収納能力はやや低めだと言えます。
しかし2シリーズを含めたBMWのトランク仕様の車は、トランクルームとキャビンが完全に分離されているのではなく、リアシートを畳むとトランクルームと繋がるようになっています。
これにより、リアシートを畳むと奥行きが一気に広がるため、ゴルフバッグなどの長い荷物も積み込めます。
また、ハッチバックタイプのアクティブツアラーは、シート折りたたみ時で1,455Lと、「X1」(1,600L※X1 sDrive18i)に迫る広さとなっています。
キャンプや車中泊なども行える広さがあるため、アウトドアを楽しむ方にもおすすめです。
価格
2シリーズの新車価格は、以下の通りとなります。
【クーペの車両本体価格】
220i M Sport | M240i xDrive |
626万円 | 824万円 |
【グランクーペ車両本体価格】
220 M Sport | 220d M Sport | M235 xDrive |
528万円 | 548万円 | 734万円 |
【アクティブツアラーの車両本体価格】
218i Exclusive | 218i M Sport | 218d Exclusive | 218d M Sport |
526万円 | 526万円 | 548万円 | 548万円 |
4ドアのグランクーペよりも、2ドアのクーペの価格が高めに設定されているのは、クーペに採用されているFR構造の製造コストが掛かってしまう為です。
しかしその分、クーペはエンジンやサスペンションがスポーツ寄りにチューニングされており、走が楽しめるようになっています。
また、ハッチバックタイプのアクティブツアラーは、1シリーズの基本グレード「120(488万円)」よりも40万円程高く設定されていますが、その分キャビンが広く、ミニバンとして使えるようになっています。
歴代のBMW 2シリーズ
ここからは、歴代の2シリーズについてご紹介していきます。
初代 F22/F23/F45/F46型(2013-2019)
2シリーズのデビューは2013年。F20型の1シリーズをベースに開発されたF22型と呼ばれる2ドアクーペが始まりです。
翌年の2014年にはカブリオレ(F23型)が発表され、コンパクトかつスタイリッシュなラインナップが揃いました。
また、ハイパワーバージョンの「M235iクーペ(最高出力326ps/最大トルク45.9kgm)」が2014年に。さらに、Mモデルである「M2クーペ(最高出力370ps/最大トルク47.4kgm)」が2016年に追加されます。
【F22型 220i(2014-2021)のスペック】
モデル名 | 220i |
全長×全幅×全高(mm) | 4,440×1,775×1,420 |
エンジンの種類 | ガソリン |
排気量(cc) | 1,997 |
最高出力(ps/rpm) | 184 / 5,000 |
最大トルク(kgm/rpm) | 27.5 / 1,250-4,500 |
2014年には、背の高いコンパクトハッチバックとして「アクティブツアラー(F45型)」もデビュー。
BMWグループのMINI(F55型)と同じプラットフォームを用いて開発され、「BMW初のFFモデル」として話題になりました。
【F45型 アクティブツアラー 218i(2014-2021)のスペック】
モデル名 | 218i |
全長×全幅×全高(mm) | 4,350×1,800×1,550 |
エンジンの種類 | ガソリン |
排気量(cc) | 1,498 |
最高出力(ps/rpm) | 136 / 4,400 |
最大トルク(kgm/rpm) | 22.4 / 1,250-4,300 |
そしてアクティブツアラーをペースに、2015年にデビューしたのが「グランツアラー(F46型)」です。
ベースのアクティブツアラーよりも全長210mm、全高を95mm拡大し、ホイールベースも110mm延長。
室内空間、荷室空間はさらに広く、BMWのSUVモデル「X5」に次いで2例目となる「3列シート7人乗り」モデルとして登場しました。
【F46型 グランツアラー 218i(2015-)のスペック】
モデル名 | 218i |
全長×全幅×全高(mm) | 4,565×1,800×1,645 |
エンジンの種類 | ガソリン |
排気量(cc) | 1,498 |
最高出力(ps/rpm) | 136 / 4,400 |
最大トルク(kgm/rpm) | 22.4 / 1,250-4,300 |
2代目 G42/F74/U06型(2019-現在)
2019年には新たに4ドアクーペモデルのグランクーペが登場しました。
コンパクトでありながら伸びやかで流麗なスタイルの良さと、4ドアの使い勝手の良さもあり、人気のモデルとなりました。
そして2021年には、8年ぶりとなるフルモデルチェンジが行われ、G42型の2シリーズクーペがデビュー。
翌年2022年にはアクティブツアラー、2025年にはグランクーペがそれぞれフルモデルチェンジを実施しています。
また、グランツアラーは2022年のアクティブツアラーモデルチェンジの際に生産終了となりましたが、BMW唯一無二のミニバンモデルとして、現在も高い人気があります。
BMW 2シリーズの現行ラインナップ
現行の2シリーズは、
- クーペ(G42型)
- グランクーペ(F74型)
- アクティブツアラー(U06型)
の3種類がラインナップされています。
1.【クーペ】伝統のFR駆動を継承したモデル
2ドア・FR駆動が特徴の本格スポーツクーペです。エレガントな一面を残したボディはショートホイールベース、ワイドトレッド設計となっています。
BMWが長年こだわり続けてきたFRを採用しており、重量配分は理想的な50:50を実現。
ここまで走りにこだわったモデルは、今時かなり珍しいのではないでしょうか。
上位グレードの「M240i xDrive」に至っては、「シルキーシックス」と呼ばれる直列6気筒エンジンを搭載。駆動方式はFRベースの4WD「xDrive」を採用。
また、「アクティブ・クルーズ・コントロール」や「衝突回避・被害軽減ブレーキ」「レーン・ディパーチャー・ウォーニング(車線逸脱警告システム)」などのセーフティ機能が充実しているのもポイントです。
BMWの走りに対するこだわりが存分に感じられるモデルです。
関連記事>>BMWのFFやFRは何が違う?それぞれの特徴やこだわりをご紹介
【クーペ 各グレードのスペック】
モデル名 | 220i M Sport | M240i xDrive |
全長×全幅×全高(mm) | 4,560×1,825×1,405 | 4,560×1,825×1,405 |
乗車定員(人) | 4 | 4 |
ラゲッジ容量(L) | 390 | 390 |
エンジンの種類 | 直列4気筒DOHCガソリン+ターボ | 直列6気筒DOHCガソリン+ターボ |
排気量(cc) | 1,998 | 2,997 |
最高出力(kW〔ps〕/rpm) | 135〔184〕/ 5,000 | 285〔387〕/ 5,800 |
最大トルク(Nm/rpm) | 300 / 1,350-4,000 | 500 / 1,800-5,000 |
WLTCモード燃費(km/L) | 13.3 | 10.9 |
車両本体価格 | 626万円 | 824万円 |
2.【グランクーペ】デザインとユーティリティを両立した4ドアクーペ
1シリーズと同じシャシを使用した4ドアクーペ。2025年3月にフルモデルチェンジが行われ、第2世代へと生まれ変わりました。
本モデルは1シリーズと共通のFF駆動であるため、室内空間が広く、実用性が高いのが特徴です。
グレードはガソリンモデルの「220 M Sport」と、ディーゼルモデルの「220d M Sport」、そしてスポーツグレードの「M235 xDrive」(ガソリンモデル)がラインナップされています。
また、「220 M Sport」と「220d M Sport」には、シリーズ初の48Vマイルド・ハイブリッドシステムを搭載。燃費が大幅に向上しているため、日常的に車を使用する方にもおすすめです。
【グランクーペ 各グレードのスペック】
モデル名 | 220 M Sport | 220d M Sport | M235 xDrive |
全長×全幅×全高(mm) | 4,550×1,800×1,435 | 4,550×1,800×1,435 | 4,550×1,800×1,435 |
乗車定員(人) | 5 | 5 | 5 |
ラゲッジ容量(L) | 360 | 360 | 430 |
エンジンの種類 | 直列3気筒DOHCガソリン+ターボ | 直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ | 直列4気筒DOHCガソリン+ターボ |
排気量(cc) | 1,498 | 1,995 | 1,998 |
最高出力(kW〔ps〕/rpm) | 115〔156〕 / 5,000 | 110〔149〕 / 4,000 | 221〔300〕/ 5,750 |
最大トルク(Nm/rpm) | 240 / 1,500-4,400 | 360 / 1,500-2,500 | 400 / 2,000-4,500 |
モーター最高出力(kW〔ps〕/rpm) | 15〔20〕/ 5,500 | 15〔20〕/ 5,500 | ーー |
モーター最大トルク(Nm/rpm) | 55 / 0-2,000 | 55 / 0-2,000 | ーー |
WLTCモード燃費(km/L) | 17.5 | 21.1 | 12.6 |
車両本体価格 | 528万円 | 548万円 | 734万円 |
3.【アクティブツアラー】BMWのミニバンポジションを担うモデル
広々とした車内空間を持つ実用性に富んだモデル。BMWの中でも唯一無二の存在として、高い人気があります。
アクティブツアラーの長所は、なんと言っても高い実用性にあります。
シートを折りたたむと、最大1,455Lの収納能力が確保されており、マウンテンバイクなどの大型の荷物もそのまま積み込めます。
また、実用性だけでなく、プレミアムコンパクトとしての高い質感や、優れた走行性能を持ち合わせているのもポイントです。
3、5シリーズにも採用されている遮音性に優れたボディ設計により、ロードノイズを極限まで抑え、上質な乗り味を実現。ファミリーカーとしても活躍します。
スポーツグレードの「M Sport」は、スポーツシートや「アダプティブ M サスペンション」が搭載されているため、走りに妥協したくない方にもご満足いただけます。
【アクティブツアラー 各グレードのスペック】
モデル名 | 218i Exclusive | 218i M Sport | 218d Exclusive | 218d M Sport |
全長×全幅×全高(mm) | 4,385×1,825×1,580 | 4,385×1,825×1,565 | 4,385×1,825×1,580 | 4,385×1,825×1,565 |
乗車定員(人) | 5 | 5 | 5 | 5 |
ラゲッジ容量(L) | 470(1,455※後席折りたたみ時) | 470(1,455※後席折りたたみ時) | 470(1,455※後席折りたたみ時) | 470(1,455※後席折りたたみ時) |
エンジンの種類 | 直列3気筒DOHCガソリン+ターボ | 直列3気筒DOHCガソリン+ターボ | 直列4気
DOHCディーゼル+ターボ |
直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ |
排気量(cc) | 1,498 | 1,498 | 1,995 | 1,995 |
最高出力(kW〔ps〕/rpm) | 115〔156〕/ 5,000 | 115〔156〕/ 5,000 | 110〔150〕/ 4,000 | 110〔150〕/ 4,000 |
最大トルク(Nm/rpm) | 230 / 1,500-4,600 | 230 / 1,500-4,600 | 360 / 1,500-2,500 | 360 / 1,500-2,500 |
WLTCモード燃費(km/L) | 14.5 | 14.5 | 18.6 | 18.6 |
車両本体価格 | 526万円 | 526万円 | 548万円 | 548万円 |
まとめ
2シリーズは、コンパクトなスポーツクーペに乗りたいとお考えの方や、SUV以外でユーティリティ性能の高い車を探している方にぴったりなシリーズです。
スポーツ走行を楽しみたい」という方には、2シリーズクーペをベースとしたM2もラインナップされています。
関連記事>>【BMW Mモデル】歴史や特徴、全モデルのラインナップを紹介
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