BMW流の4WD「xDrive」とは?

BMWといえば「FR」というイメージが一般的です。
確かに共にドイツ御三家と呼ばれるアウディやメルセデス・ベンツが比較的早くから4WDのモデルを用意していたのに対し(アウディの場合はブランドのアイデンティティになっている)、BMWは4WDにあまり積極的ではなかった印象があります。
そこには4WDでは「BMWの掲げる『駆けぬける歓び』が実現できない」という事情があったのかもしれません。
しかし最近ではSAV(スポーツ・アクティビティ・ヴィークル)のXシリーズ以外にもBMWの4WDシステム「xDrive」を搭載するモデルが増えてきました。
このxDriveはBMWが満を持してリリースした4WDシステムです。駆けぬける歓びをスポイルしているわけがありません。
そこで今回は、退屈さとは無縁の、走りを楽しめる4WD、xDriveについてお伝えしてまいります。

「xDrive」とは?

「FRのBMW」らしい4WD

以前は4WDに対し「直進安定性に優れるが、曲がらない」という評価が一般的でした。
悪路でのトラクション性能に優れ、舗装路でも直進安定性に優れるが、曲がろうとするとアンダーステア(ハンドルを切っても車が外へ外へと逃げていく特性)が強くて曲がらないというわけです。
車の基本は「走る・止まる・曲がる」。
この3つがきちんと揃わない限り、BMWが標榜する「駆けぬける歓び」は実現できません。
そこでBMWは、FRのような「自然なハンドリング」を実現する4WD、「xDrive」を開発することにしたのです。

インテリジェント4輪駆動システム

xDriveは常に路面状況、走行状況を検知しており、滑りやすい路面やオーバーステア・アンターステアなどの車の不安定な挙動を事前に察知します。
そして察知したと同時に前後輪へ駆動トルクを最適に配分。
その可変域はフロント0:リア100というFR状態からフロント50:リア50といった完全4駆状態まで無段階で、FR↔4WDをシームレスに移行するインテリジェント4輪駆動システムなのです。

xDriveの構造と仕組み

一般的な4WDシステムはセンターデフを介して前後のタイヤの回転差を制御。どちらかのタイヤが滑り始めるともう片方のタイヤへと動力を伝達します。
しかしこの方式だと一瞬のタイムラグが生じて車体が不安定になり、また思ったように「曲がらない」という状況になってしまいます。
そこでxDriveではセンターデフ内の多板クラッチを電子制御することでこのタイムラグをなくしているのです。

xDriveがもたらすメリット

現在のBMWにはDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)と呼ばれる車体を安定させるシステムが採用されています。
DSCは道路状況や速度、ステアリングの切り角などの情報をモニターし、そのデータを総合的に計算。必要があればエンジン出力やブレーキを制御して車体を安定させるものです。
xDriveはこのDSCとリンクして更に高度な制御を実現。
例えば高い速度でコーナーリングをしていると判断した場合はオーバーステア(必要以上に曲がってしまう危険性)があるため、フロントへのトルク配分を増やすことで車を「FFっぽく」してアンダーステア傾向をわざと造り出し、オーバーステアを打ち消します。
逆にこのままではアンダーステアになってしまうと判断した場合はリアのトルク配分を増やすことで車を「FRっぽく」してアンダーステアを修正してくれるのです。

xDriveが活きるシチュエーション

この高度なインテリジェント4輪駆動システム=xDriveが活きるのは悪路や雪道、濡れた路面を走行するときだけに限りません。
乾いたワインディングロードを走行する場合でも、通常時はトルク配分をフロント0:リア100としてFRっぽくすることで走りを楽しみ、オーバーステアが出そうになったときだけDSCとリンクしたxDriveが介入するということができるのです。
このことによりBMWが標榜する「駆けぬける歓び」を実現しながら、どんな路面状況、天候でも安定して走行することが可能になりました。

xDriveが設定されている車種

現在BMWではSAV(スポーツ・アクティビティ・ヴィークル)であるXシリーズはもちろんのこと、セダン、ツーリングなど、幅広いボディ・タイプでxDriveモデルを選ぶことが出来ます。

  • 2シリーズ アクティブツアラー/グランツアラー/グランクーペ
  • 3シリーズ セダン/ツーリング
  • 4シリーズ クーペ/カブリオレ
  • 5シリーズ セダン
  • 7シリーズ
  • 8シリーズ クーペ/カブリオレ/グランクーペ
  • Xシリーズ

スポーツする4WD「M xDrive」

悪路や雪道だけではなく、駆けぬける歓びをも堪能できるxDriveですが、M5やM8といったいわゆる「Mモデル」には強大なパワーを受け止め、スポーツ走行さえ可能にする「M xDrive」が採用されています。
M5コンペティションのパワー・トルクは625ps/750Nmという最早スーパースポーツの領域。FRの2本の後輪ではこの強大なパワーを受け止めることが難しいのです。
そこでM xDriveではパワーによるタイヤの空転を感知した瞬間に他のタイヤにトルクを配分。4輪全てを完全に制御することで強大なパワーを受け止めます。
またM xDriveではトルクを分配するセンターデフに専用の「アクティブMディファレンシャル」を搭載し、通常のxDriveを上回るダイナミックなドライビングを可能にするのです。

4WDになってもBMWらしさは色あせない

車がハイパワー化され、また安全性の面から車体の安定が求められる現在、4WD化は時代の流れともいえます。
ただそんな流れの中でもあくまでも走りにこだわるxDrive。
4WDになっても、BMWらしさは色あせないのです。

ライター情報

BMW Column編集部

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