「輸入車は故障が多い」「修理代が高い」というのは本当?

初めてクルマを購入される方や、これまで国産車しか乗ったことのない方に輸入車をすすめると、
「輸入車は故障が多いイメージがあって怖い」
「修理代が高くて維持費がかかるんじゃない?」
というようにいわれることがあります。

これは本当に事実なのでしょうか?
筆者は30年以上輸入車に乗り続けていますが、「走行できなくなった」という致命的な故障は1度だけです。
特にこの10年くらいは小さなトラブルさえほとんどありません。
ただ自分の場合は輸入車に乗り慣れており、あらかじめ予防策を講じているのは間違いなく、また国産車に比べると修理代、パーツ代が高いというのは事実の部分もあると思います。

そこで今回は、

  • なぜ「輸入車は故障が多い」と思われてしまうのか?
  • 「修理代が高い」は本当か
  • トラブルを未然に防ぐ3つの方法

といった内容をお伝えしてまいります。

「輸入車は故障が多い」というイメージを持たれる主な理由

故障が多いといわれる理由には、印象やイメージによるものと、事実によるものがあると考えられます。

過去の記憶と「輸入車はよく目立つから」

確かに30年ほど前の輸入車、特にラテン系のクルマ(フランス車・イタリア車)は比較的故障が多かったのも事実です。
そのためその頃に「故障しやすい」というイメージが固まってしまい、現在までそれを引きずってしまっている可能性があります。
また輸入車は国産車よりも数が少なく、よく目立つため、故障していると強く印象に残り、人々の話題にもなりやすかったということもあったでしょう。

クルマの「故障」に対する考え方の違い

日本人と海外の方との「故障」に対する考え方の違いも理由の1つとして考えられます。
日本人は完璧主義であり、細部にまで妥協を許さない国民性です。
そのため小さな装飾パーツが1つ外れてもクレームの対象になってしまいます。
一方海外の方は、「走る」「曲がる」「止まる」、つまり、エンジン、駆動系、ブレーキさえ壊れなければOKというおおらかな方が多いのが特徴です。
一昔前までは、「クルマは買った時はまだ未完成品で、買って手を入れながら完成品にしていくもの」という話さえありました。
もちろん現在は輸入車でもそのようなことはありませんが、基本的な考え方として、影響があるのかもしれません。

高温多湿な日本の気候

高温多湿で、周りを海に囲まれ潮風にさらされる日本はクルマにとって決して良い環境とはいえません。
国産車は日本の気候、風土に最適化されているため問題ありませんが、輸入車の場合、小さなトラブルの原因となる可能性はあります。

車検や修理代が高い理由

輸入車の車検費用や修理代が国産車よりも高額になる傾向があるというのは、事実だと思います。
ただそれについて「高い工賃を取っているのでは?」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、実際にはただただ単純に「パーツ代が高い」ことから来ていることがほとんどです。

「輸入」しているからパーツ代が高い

グローバル化した現代ですから、輸入車にも日本製のパーツが数多く使われています。
とはいえパーセンテージでいえば海外製のパーツが多いわけですし、日本製のパーツも海外で製造されていたり、一旦海外に運び出されたりしているわけです。
そのため日本国内で輸入車を点検、修理しようとする場合、使用するパーツは「輸入」する必要があります。
するとそこには船代などの国際輸送費が上乗せされるわけで、結果として国産車で使用するパーツよりも高くなってしまうというわけです。

輸入車のトラブルを未然に防ぐ3つの方法

少なくなったとはいえ、やはり輸入車に乗っているとトラブルに遭うこともあります。
そしてトラブルになれば修理が必要なこともあり、パーツ代の高さからくる修理費の高さに頭を悩ますケースに遭わないとも限りません。
そこで輸入車歴30年を超える私が、輸入車の購入時や普段乗っている際に注意しているトラブルを未然に防ぐ「3つ」の方法をお伝えいたします。

1.「君子危うきに近寄らず」クルマに悪いことはしない!が基本

まずは君子危うきに近寄らず、クルマに悪そうなこと、状態が悪くなりそうなことは徹底的に避けることが基本となります。
例えばサビや電気系統のトラブルの原因となる「潮風」にあたったら早急に洗車をして塩気を落とすとか、できれば屋根付きの駐車場に停めるようにするといったことです。
これは別に輸入車に限らず、国産車でも基本的に同じなのですが、日本とは異なる気象条件の国からやってきたクルマということで、念には念を入れるという意味になります。

2.ディーラー車・認定中古車を選ぶ

輸入車の場合、ディーラー車とは別に並行輸入で手に入れるということも可能な場合がありますが、よほどの理由がない限り(正規輸入されていないなど)並行輸入車は避けておいたほうがベターです。
というのも、正規に輸入されたディーラー車の場合、その国、例えば日本に「最適化」された仕様のクルマが輸入されているケースが考えられるからです。
特に世界的に見て日本市場の占める割合が高いメーカーの場合、特別に「日本仕様」を用意している可能性があります。
公式には謳っていなくても、目に見えない部分で対策が施されていることもあるので、輸入車を購入する場合はディーラー車を購入するようにしてください。
また中古車を購入する場合もディーラーの保証がついた「認定中古車」であれば、若干値段は高くても程度の良い車両が多く、安心して乗り続けることができるためおすすめです。

3.こまめな点検が吉を呼ぶ

私が一番気をつけているのは「こまめな点検」をすることです。
車検や12ヶ月点検といったディーラーで行われる点検はもちろんのこと、クルマを始動する前や、走り始めた直後は「異音」や「変な振動」がないかチェックを行うようにしています。
クルマの故障は人間の病気と同じで、起こる前には必ず「初期症状」が表れます。
ちょっとした異音や振動に気をつけていれば、それらの初期症状に気がつくことができ、「早期治療」をすることができるというわけです。

「輸入車=ペット」と考えればOK

私は輸入車は「ペット」のようなものだと考えています。
ペットは人間と同じ生物ですが、環境に対する順応性や生態には大きな違いがあります。
そのため人間に対する注意とは異なる注意を払う必要があるわけです。

ただしちょっとした注意を払ってやれば、そこには大きな魅力が待っています。

故障や修理代のことが気になって輸入車の購入を避けている方は、輸入車はワンちゃんだから人間(国産車)とは違った病気にかかることがある、輸入車はネコちゃんだから獣医代(修理代)が少し余分にかかってしまうと考えてみたらいかがでしょうか。

そこには魅力あふれる輸入車の世界が待っているはずです。

ライター情報

BMW Column編集部

BMW Column編集部です。 このコラムでは、車にまつわる情報、BMWに関する面白くてタメになる知識を発信していきます。ぜひ更新を楽しみにしていてください♪